
【栄養成分】食物繊維のはたらきは、便通改善だけじゃない。免疫機能を適切に発揮させるにも必要。
食物繊維とは、消化酵素で消化できない成分のことをいい、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別されます。ほとんどの食物繊維は植物に含まれる炭水化物の一部(炭水化物=糖質+食物繊維)ですが、一部動物性の食物繊維も存在します。
1.水溶性食物繊維
例)ペクチン(野菜・果物)、アルギン酸(海藻類)、グルコマンナン(こんにゃく)
2.不溶性食物繊維
例)セルロース(穀類・豆類など)、リグニン(穀類・豆類など)、キチン(甲殻類など)
水溶性食物繊維は、水を含むとゲル状となり、食べものの吸収をゆるやかにし、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールの排出を促したりします。
不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を促して、便通をよくするはたらきが期待できます。
消化酵素で分解できない食物繊維ですが、腸内では善玉菌のエサとなり、酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸をつくって腸内を酸性に傾け、善玉菌優位な腸内環境を保つのに役立っています。
短鎖脂肪酸は腸内環境を整えるだけではありません。腸には食べものに含まれる可能性がある病原菌やウイルスを取り込まないように、免疫機能が備わっています。一つは腸壁のバリア機能、もう一つは腸に集まる免疫細胞です。からだの免疫細胞の内、約70%もの免疫細胞が腸に集まっているとされています。
短鎖脂肪酸には、腸壁のバリア機能を高めるだけでなく、免疫細胞の力を適切に発揮させる役割もあるとされています。
したがって、食物繊維の摂取は、便通をよくするだけでなく、免疫機能を適切に維持するためにも大切だと言えるでしょう。
未精製の穀類や根菜類、海藻類などの摂取が少なくなった現代人は慢性的に食物繊維不足だといえます。意識して食物繊維を含む食品を摂取する必要があるでしょう。